2011年5月17日火曜日

備忘録「福島原発事故における最悪のシナリオ」

●はじめに
 福島原発事故から2カ月もった。事態はあまり改善されてないが当面の危機は薄れたようだ。問題は大量にあるのだろう、だが予断が許さない事態が続く事には疲れてしまった。そこで今回は、私が想像(妄想)してきた最悪のシナリオをドキュメントに記述し、いったん頭の中をリセット(整理)する事にしました。

 ちなみに私は学者でもないし、情報通でもないので、おそらく考えてきた事項には誤解や勘違いも多いと思います。まあ、それはそれで、数年後に見て「あの時はパニクっていて、馬鹿な事をかんがえていたな」と笑い話になればよいと思います。だから馬鹿げた空想も含めて、なるだけ忠実に妄想してきた事を記載してみます。

 手順としては時系列に的に記載してゆき、考えや想像の変節や経緯などについても、自己整理をしてみます。
(注:これはあくまでフィクションで、別に危機を煽るような意図はありません)


●震災直後>2011/03/11~
 震災直後にまず考えていた事。それは東北地方で起こった地震なので少なくとも阪神大震災よりは死傷者は少ないのだろうという事だった。そして後から津波被害の酷さに驚いた。しかし最初に気になったのは、やはり原発事故のニュースだった。しかし直後は気にはなっていたものの、ろくな情報がTVでもネットでも見つからず、事態の全体像が見えない事に、とにかくいらだったのている。

 同時に「左から右へと」ただ情報を垂れ流す事しかできない、マスコミにはかなり腹がたったのを覚えている。細かい話よりも全体像と、今後の見通しが知りたかったが、そういった記事は知る限りなくて、しばらくたってもっともましだと思ったのはGoogleの「東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)」だった。だがその時にも、なんとなく国内でちゃんとした情報が出ない、出せない事に対して、ちょっと情けないように思ったのを覚えている。

 最初の数日はTVでダラダラと中身のない放送(左から右へ垂れ流しだけ)で腹がたったのだが、しばらくすると今度はほとんど震災や原発の記事が出なくなった。これを見ていて本当に日本のマスコミは馬鹿なのか、それとも視聴者を馬鹿にしているのかどっちかなのだろうと思った。ネットでは災害支援が行き詰まっている事や、政治が機能していない事について声があがっている時期で、本来ならばマスコミでは定期的にでも「政治に期待するアクション」や「交通機関の復旧状況」とか「ボランティアする際に必要な情報」といった、もうちょっと前向きな記事やインタビューなどをすればよいのにと思っていた。

 始めの頃に思っていたのは、とにかくマスコミに腹がたった事だったようだ。そして原発事故に対する記事が出ないので、おかしいなと思い始めた。


●疑念>2011/03/21~
 始めの頃、私はTwitterは使ってなかったので、原発の情報(ロードマップなど)が出ない事について不信感は持っていたが、危機感はそれほど持ってなかったように思う。だがネット情報では、福島事故の状況が悪く、最悪の事態になれば放射能汚染が関西から北海道レベルまで広がるだろうという話題も一部にはあった。

 始めは私も、その最悪情報には半信半疑で、ちょっと大げさすぎるのではないかと考えた。しかし少し真面目に調べようと思い、Twitterを使ったり、ネット上で記事を調べたりしているうちに、必ずしも誇張では無いのではないかと考えるようになった。それは以下の事項によってである。
  • チェルノブイリの発電規模は「100万kW」、福島原発の1~3号機の合計は「200万kW」
  • 福島原発は稼働期間が長いので大量の核廃棄物もあるので、放出が危惧される核物質はチェルノブイリの10倍程度
  • チェルノブイリ事故では300キロ程度離れた場所でも高被爆地帯あり、どこが被爆するかは天候しだい
  • 福島原発では海水をかけて冷却中だが、海外メディアでは前例がない事態として驚いたという記事
  • 日本の避難区域は20キロだが、米軍は80キロまで退避行動
 最終的に考えたのは、そもそもこれは世界的に前例がない事態である。故に過去の常識は通用しないだろうという事だった。だから最悪の想定としては、チェルノブイリの10倍規模の放射性物質が数百キロ圏内に降り注ぐ事態であり、世界的な問題だという認識だった。
 
 この時期の福島原発は、私見ではなんとか爆発するのを必死で食い止めているという状態だった。だからこれは大変な事態だと思ったし、「震災復興計画が進まないはずだ」とも思った。政府としては、原発事故が悪化すればどれだけの規模が災害になるか解らない、そもそも福島周辺は復旧に着手してしても良いかどうかの判断すら付きかねていたのではないかと想像される。

 だがそれならば、なおの事、中途半端な被害範囲をきるよりは、もっと思い切って住人を広範囲に退避させて欲しかった。これは今でも思っているし、まだ不十分だと思う。単純な放射線量だけでなく、福島原発の状態を考えれば福島県民全体を疎開させてもよかったのではないかと今でも思う。


●この国どうなってんの?>2011/03/25~
 この頃は、原発がいつ爆発してもおかしくないと考えいた時期で、私的には一か月以内に爆発する確率は7:3と考えていた。(爆発7割) これは大げさなのかもしれないが、この時期は本当に危険だったと思っていて、直感的にはこれぐらいの危険性と認識していた。だから福島現地で爆発を食い止めているのは本当に凄いことだと思っていたし、現地で作業する人たちには敬意をもっている。だが同時に、次のような最悪なシナリオを想像もしていた。
  1. 過酷な作業環境で、なんらかの判断ミスや遅れが発生して、原発4機のいずれかが水素爆発+圧力容器が破損する。
  2. 放射能が高くなり現場で作業をする事が不可能になり、作業員全員が現場を放棄して退避。
  3. この為に他の原発も冷却できない状態となって、残り3機も同様に水素爆発等で圧力容器が破損。
  4. 結果としてはチェルノブイリの10倍規模の放射性廃棄物が撒かれる。
  5. 放射線の広がる範囲は天候次第なので不明だが、東京は少なくとも人が住めないレベル。最悪は関西圏~北海道ぐらいの間が強制退避区域となる。
 考え方として、4機の原発のうち、1機を安全に冷却停止できる確率を仮に90%とした場合でも、全てを安全に停止できる確率は0.9の4乗なので約65%となる。どの程度の製効率化は解らないが、どれだけ失敗が許されない作業かが想像できるだろう。

 では、このような最悪事態が起こった、その後はどうなるのだろうか? これはほぼ妄想だが、それでも幾つかのイメージが頭に浮かんだ。
  1. 事実上の国家壊滅。首都機能停止、国会停止~結果として日本国と言う体制を維持できない状態となる。
  2. 住民の避難不可、国外に一億人を退避させるすべなし。ここまで状況が悪いと他国の支援があっても焼け石に水。
  3. 国家主権が空白となるので北海道あたりはロシアが、九州あたりはアメリカ支配。中国とにらみあうような緊張状態になる。
 これはあくまでも空想の話だが、最後に辿り着いたのは次の情景だった。

 日本国中が放射能で汚染され、まともに人が住めない状態になる。だがそれでも日本国中で福島以外の原発は稼働しつづけている。そしてほとんで電気を使う者がいなくなっても発電が続く、もしくは核廃棄物の冷却をつづけなければいけない。だから結果として日本人は国外にでる事もゆるされず、残った原発のお守りをする・・・。
 しかもその理由はと言えば、電力会社の手抜きと、マスコミの怠慢、御用学者の出まかせ、政治家の利権、官僚のメンツなど、どれを取ってもくだらない理由による。世界史には勝手に自滅した愚かな民族の物語が載るだろう。


 ここまで想像が至ってから、私はどうしても、ほとんど無人の地帯で原発だけが稼働しているイメージが頭に浮かんでしまうようになった。核廃棄物の管理は百万年と言われるが、まさにこのような状態ではないのだろうか? それからはこの情景が頭から離れない。


 この想像(妄想)は、果たしてどこまで現実性があったのかは、今でも私にもわからない。もともと世界的に前例がない事態だから、なんでもありえたのかもしれない。ちょっと誤ればこのような事態に近づいたのかもしれないし、そうでないのかもしれない。

 もう日本は無くなるかもしれないと想像し、難民になるかもしれないと思った。だが難民にすらなれないとも考えた。ここまで来ると結構ノイローゼ的な想像なので、正直いって夜もあまり眠れないような時もあって、かなり気も滅入っていた。同時にTVでのバラエティー番組などは、あまりにも非現実的に感じられて違和感があった。

 しかしこの想像は妄想だったとしても、現実世界はどうだ? TVで与謝野大臣の「原発はかわらずに推進する」というコメントを見たときには「狂っている」と感じた。私が狂っているのか、彼らが狂っているのか? いずれにしろ現実世界の異常さだけはリアルだ。


●小出裕章氏について>2011/04/12~
 小出裕章氏という存在をしったのはこのころからで、こういった人物がいることに驚いたし、感銘をうけた。同時にやっと正しい情報を発信してくれる人物を見つけたと思った。小出氏は危機をあおったりはしないのだが、科学者らしく、状況認識はシビアだ。だから客観的にもやはり危険な状態が続いているのは確かだった。

 そして小出氏の書籍「隠させる原子力・核の真実」やインタビュー動画などを見るにつけて、原発に対する考え方も大幅に変わった。それまで、私は原発は「必要悪だと考えていたが」、結局は「単なる悪だった」と思うようになった。かなり上手く騙されていたなというのが実感だ。

 結局のところ、原子力というのは、安全性どころか、経済性(コスト的)にも、エネルギー保証にも、環境的にも、全てにおいて合理性は無いのだという事が解った。だが本当に恐ろしいのは、この合理性がないものを推し進める者たちがいることである。しかもこのような大事故があったあとで、また大事故がまだ終息できる見込みもないのにである。

 正直、私にはいまだに原子力を推進する人たちの気がしれない。福島事故の影響は国家を破たんさせかけている。また仮に最も理想的なレベルで被害を終息できたとしても、既に多くの汚染や被爆を産んでしまっている。既に金をバラまいて記憶を消せるレベルではない。

 被災者ではない私でさえ許し難いと感じる。被災者の怒りはとてつもないものだろう、そしてこれから将来発生する被爆での怒りは想像もつかない。

 それでも推進を支持する人達、彼らは恐ろしくないのだろうか? 

 いずれはナチスさながらに、子子孫孫までこの恨みの連鎖が起こるのではないだろうか? 

 そんな事はたいした問題ではないと思っているのだろうか?

 あるいは全員でやってきたから、自分には責任がないと思っているのだろうか?

 悪気は無かったと言って、済ませられると思っているのだろうか?

 私には彼らの考えが理解できない。しかし、あまり危機だという認識はなさそうだ。特に東京電力の上層部は、間接的にでも長年この国を支配してきた自信があるのか、まだまだ余裕ありそうに見えるし、反省や後悔はないように見える。 


●慣れたかマヒしたか>2011/05/12~
 5/12の小出氏のコメントにて、1号機はとっくにメルトダウンしている事が解った。しかし結果的にメルトダウン時の水蒸気爆発は起こらなかったので、1号機については当面の危機を回避したという解説だった。現状では福島事故はまだまだ復旧のめどがついてない状態なので安全ではないだろう。だが私も一つの区切りと考える事にした。

 事故が起きてから予断を許さない状態が2カ月以上もたって私も正直つかれた。TVとネット上での危機感の違いは別世界のようだ。まるでパラレルワールドの境に立っているような気がする。だがその状態はこれからも続くだろう。

 しかし、いったんは本日のこのドキュメントで自分自身が感じていた不安や危機感について整理する事ができた。よってはこれ以上は過度に心配するのを止める事にする。(少なくとも国家壊滅は回避したという事にはしておこう) 

 なお、ここに記載した破滅シナリオは、あくまでも私の空想フィクションなので、数年後には馬鹿な事を考えていたと笑い話になっている事を願います。


<参考>
・チェルノブイリ原発事故

・福島原発事故京都大学原子炉実験所助教・小出裕章氏電話インタビュー (神保哲生の「マル激トーク」)

・5月12日 1号機は最悪の危機は当面回避 小出裕章

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