2011年7月8日金曜日

嘘で塗り固められた世界

 始めについた小さな嘘を誤魔化すために、結果として嘘をつきつ続ける事になる。誰しも子供の時に体験した事があるだろう。しかし、それが今は日本国という単位で行われている。最近驚いたニュースに、農林水産省が放射能汚染された汚泥を肥料として使用するという記事があった。度重なる日本政府のクレージーな対応には、あきらめつつも、慣れつつあった私も、さすがにこの記事は驚いた。

 汚泥を処理するとしても堆肥は最悪の手段である。そんな事をすれば程度の差はあれ、日本じゅうの耕作地が放射能汚染されてゆくことは確かだ。そして一度やってしまえば、元に戻すことはできない。これはあたかも、意図的に日本じゅうを等しく放射能汚染させたいかのような行為だ。何故こんな事をしたいのか理解できなかった。

 だが色々と考えているうちに、なんとなく解ってきた。別に彼らとて等しく放射能汚染をばらまきたいわけではなく、これは最初についた嘘の続きなのだろう。その最初についた嘘というのが「放射能汚染はたいしたことない。原子力は推進できる」というものだ。

 政府も官僚も、3.11以降の放射能汚染をひたすら過小評価しつづけ、本格的な対策はほとんど行わなかった。彼らは福島の被災地で進む高濃度の汚染を無視した。住民を避難させなかった。食品の放射能汚染汚染規制を大幅に引きあげた。被災地の汚染された廃材を各地にばらまかれるのを放置した。こういった度重なった嘘の続きが今回の堆肥の問題だ。

 しかしさらに驚いたのが「20キロ圏外の避難区域解除、7月半ばに協議 細野原発相」とう記事だ。ずっとこのブログ上でも避難区域をもっと広範囲に広げるべきだと書いてきたし、東京のような関東圏内でも安全ではなくなってきたと書いてきた。それが拡大ではなく、避難区域を縮小するというのは、正気とは思えない指示である。

 おそらくは福島原発事故対策のロードマップの日程に合わせて言い出したのだろうが、原発事故はなんら解決してないし、いまだに危険は続いている。当初ロードマップを立てた前提も違っているし、問題もほとんど解決せず、むしろ状況は徐々に悪くなっている。例えば・・・
  • 炉心状況はメルトダウンどころか、メルトスルーで恐らく地下を汚染継続中、当然空中への放射能漏れも一定量で継続中
  • 冷却循環は作ったものの、メルトスルーした状態では、そもそもどういった効果や意味があるのか疑問
  • 4号機建屋が崩れかけている問題があり、これが崩壊すると再び大規模な放射能散布が起こる恐れがある
  • 福島県内の汚染は広がっており、徐々にチェルノブイリを超える汚染地帯が発覚している
  • 食品汚染の問題あり、汚染廃棄物や、汚泥のような問題も次々と発覚
 はっきり言って状況は良くなっていない。特に4号機建屋の問題があるので、住民を近くへ戻すのは無茶もいいところだ。あいかわらずの、とてつもない人命軽視の判断に驚かされる。

 ただ始めの嘘を付き通すために、メンツだかなんだか解らないものの為に、これらの嘘はまだまだ続けられてゆく。


 ちなみに最近のTwitter上では、管総理が反原発に舵をきったと擁護する意見と、管総理に騙されているのだという意見に両極に分かれつつある。政治の世界は、ずっと前からまともな理屈で動いていないが、この点について私はこう考えている。

「もしも、管総理が現在の放射能汚染の被害状況を正しく認識しなおすのならば、それを評価する。それ以外はおそらく政治駆け引きだけの問題なので、状況しだいではどちらへも転ぶだろう」

 現状を正しく認識しない者には、永久に正しい解は得られない。今起こっている被害を理解しなければ、これらは失われた10年どころか、100年以上だって失われてゆくだろう。エネルギーだの、経済だの、反原発/反・反原発、・・・etc、まず必要で、そして出来ていないのは、正しい現状認識である。どれほど時間がかかろうが、まずはそこから始めないといけない。

 そして私が見る限り、この国では、まだ正しく現状を認識できていない。特に政治家や官僚達は、現実を見るのを恐れて、言葉と机上で戯れているだけだ。


<参考>
・放射線汚泥肥料 人体への影響を専門家が警告

・放射能汚泥を肥料として流通させないための動きもはじまっています。

・20キロ圏外の避難区域解除、7月半ばに協議 細野原発相

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