2011年10月22日土曜日

グローバル化とは価値観の統合であり、ゆえに反逆すべし

 最近になってようやくTPPって結局なんなのか? という所から初めて関連する記事やニュースを見るようになった。数年前まではあんまり政治や経済にも興味がなかったし、政治家や官僚がやることも間違いはあっても破局を起こすほどの無茶はしないだろうと思っていた。しかし3.11原発事故以降は色々な問題が明るみに出るようになり、放置すれば政治家や官僚は十分に破局的な事態を招くような選択をしかねないのだという事がつくづく解った。そしてTPPもその一つだと思う。

 TPP(環太平洋パートナーシップ協定)は日本のメディアでは何故か好意的に報じられるが、中身を知れば知るほどこれは、アメリカが日本をカモにする為に進めている制度としか思えない。グローバルなものだというが、TPPに加盟を検討中なのはシンガポール、ニュージーランド、ブルネイ、チリ、米国、オーストラリア、ペルー、ベトナム、マレーシアの9カ国であり、経済規模では米国と日本が大部分を占める。故にアメリカがジャイアンで、日本がのび太という構図が露骨に見えてくる。

 だがもっと深く考えれば、TPPというのはずっと以前から言われている「グローバル化運動」と言うべき物の一部でしかない。ではそもそもグローバル化とは何だったのだろうか? TPP促進のスローガンの一つに、「グローバル化に乗り遅れるな」とか「世界から孤立していいのか」というのがあった。(実際のTPPはむしろローカルといっていいような狭い地域性なのだが・・・)
 ちなみに昔の私はグローバル化は良いこと、あるいは必要悪であり、いずれは辿る必然的な道のりだと思っていた。インターネットが広がって情報が世界を国境なしに巡るようになれば、いずれはローカルスタンダードは消えるしかないのだと思っていたからだ。

 しかしネットは確かに世界をつないだかもしれないが、物理的な国境線は確固として存在し、人々は国という単位で分断されているのは結局のところ、昔も今も変わりはない。変わったのは多国籍企業が力を増して、国境を越えた活動やビジネスが広がったことだろう。つまり今の私達が暮らす世界というのは1つではなく、むしろレイヤーの異なる複数の世界が重なり合っているような状態だと言える。

<レイヤ別に分かれた複数の世界>
 物理レイヤ  :国境線や地形に遮られた物理的な境界
 情報レイヤ  :インターネットを通じた国境の無い世界
 ビジネスレイヤ:多国籍企業が足場に世界で行うビジネスで実質国境が無くなりつつある

 つまりは上記のような世界観があって、そして私はいったいどこに所属しているのだろうかというわけだ。

 この事を顕著に考えさせられたのが、さきほど話していたTPPの問題である。参考資料としてリンクを載せたが、TPPは端的に言えば一般庶民にはおそらく悪影響しかないだろうと思う。おそらくメリットがあるのはビジネスレイヤに所属する多国籍企業だけである。そして企業は潤うかもしれないが、一般庶民は利益は配分されてこない。

 例えば日本は長いあいだ大企業優先路線でやってきていた。過去の高度成長期には大企業を優遇して、輸出をふやして利益があがれば、その利益がうまく国内を還元していた時代もあった。だが今では企業は海外に出てゆくのが当たり前であり、巨大企業が潤ったところで必ずしも庶民に利益が回ってくるわけではない。そこで生まれたのがウォールストリートのデモに代表されるような99%の貧者である。
 もはや大企業がもうかれば経済全体がうまくいく時代ではない。私が疑問なのは、TPPを推進する日本の官僚はこの事を解ってやっているのか? それとも理解できないままにやっているかと言う事だ。

 以前に村上龍がエッセイの中に、「勝ち組、負け組」という言葉は日本的なごまかしを含んだ言葉であり、正確には「勝者、敗者」があるだけである、といった意味を語っていた。今になって私にもその言葉がリアルに実感される。「勝ち組」があるというのは今や幻想である。1%の勝者がいて、99%の敗者がいるというのが世界の現実だ。


 では話を少し戻すと、「そもそもグローバル化とは何だったのだろう?」

 私はグローバル化とは、究極は価値観の統合ではないかと思う。かつて通貨が世界を統合して経済社会を生み出したように、グローバル化とは人々の暮らしや価値観を統合して巨大企業に適した箱庭の社会を生み出そうとしているように思える。

 しかし少し前ならば、私もこんな事は考えなかっただろう。SFによくあるような統合された未来社会という概念は、物語の世界だけで現実には遠かったからだ。しかしTPPに始まるような現在の動きは、統合された世界というのがもはやSFだけでは無くなった事を示すかのようだ。
 だが私にはどうしても、全員が同じ方向をみるような社会、全員が同じような競争をするような社会というのが、優れた社会構造でも楽しい世界にも思えない。本来の社会や未来像というのは、多様性と可能性を広げる方向に発展すべきなのだ。
 しかし現在のグローバル化が目指す世界はむしろその逆へ進んでいるようにしか見えない。グローバル化や世界に乗り遅れるななどと焦る前に、本来はどうあるべきなのかをもう一回問い直す時期にきたではないだろうか? ゆえに、タイトルに記したように言いたい。

「世界を覆おうとしているグローバル化に対し、今こそ反逆すべし」

参考:
・サルでもわかるTPP
 http://luna-organic.org/tpp/tpp-1-1.html
・環太平洋戦略経済連携協定(TPP)の概要
 http://www.jetro.go.jp/theme/wto-fta/basic/tpp/

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