2014年10月17日金曜日

エボラ出血熱はどれだけヤバイのか

 先日、アメリカの看護師がエボラ出血熱に感染したニュースがあり、これを受けたかのように国連での緊急事態ニュースが流れた。ようやくエボラ出血熱という病気のやばさが、全世界にリアルに伝わりだしたように感じる。でも、なんとなくではあるが日本(政府関係)では、まだ緊張感があまり感じられてないようにも感じる。そこで今回は、私的レベルなのだけども、解っている状況を整理して「いったいエボラ出血熱はどれだけヤバイのか」というのをまとめてみようと思う。


1.なぜにエボラはヤバイのか

 ちなみに「なんでエボラはヤバイ」と私自身が思っていたかというと、1990年代にエボラ出血熱がアフリカで小流行したことがあり、もともと科学マニアの気がある私はネットで調べたり、本「ホット・ゾーン/リチャード・プレストン」や、映画「アウトブレイク/ダスティン・ホフマン主演」を見たことがあるからだ。

 当時エボラ出血熱が注目されたのは感染力の強さと致死率の高さだった。なにしろ感染した場合の死亡率は90%以上でかつ病人を治療した医師がバタバタ死んでいったことから、これはヤバイ病気だということでアメリカでは本格的に研究が行われた。そして調査の主役だった「アメリカ疾病予防管理センター(CDC)」の実話を描いたのが書籍「ホット・ゾーン」である。

 ただし結果としてこの時からエボラは定期的に小流行はしたものの、現在のような大流行は起こらなかった。それは何故かと言うと、当時のエボラは潜伏期間が短く(たしか3日前後)でかつ死亡率が90%以上なので、流行する前にすぐ全員が死んでしまうから、という理由だ。決してたいしたことない病気だからというわけではなく、逆に凶悪すぎた為にかえって広まらなかったのである。

 では2014年度の大流行はどうして起きたのかというと、2014年に流行したエボラ出血熱は2つのタイプ<従来型(致死率90%だが潜伏期が短い)、新型(致死率60%だが潜伏期が長い)>があって、新型のエボラ出血熱が大流行したのである。大流行した最大の原因は、新型エボラは潜伏期が長い為にすぐに発病せずに多くの感染者(患者)に広まってしまった事によるものだ。

 なお大流行の原因について少し補足しておくと、私は前からエボラ関係のニュースを耳にするたびに、どうも世間はエボラ出血熱を舐めすぎているような違和感を抱いていた。それが、そもそも大流行の原因についての解釈の違いに現れていると思う。
 私はちょっとマニアなので、新型出現により現地で医者がバタバタ倒れているという状況を聞いてすぐにヤバイと思っていたが、ニュースやネットなどでもろもろと伝わるポイントは次のようにちょっとずれた話を多く見かけた。

<大流行の原因とよく目にしたもの>
 1)初動に失敗した。病人が医者にかからずに、近所の呪術師的な民間医療に頼った。
 2)アフリカ現地の衛生環境、医師の未熟さ。
 3)死体を土葬するとかの現地の習慣によるもの。

 まあ、上記も一因としてあったのは確かだが、私的にはこれらは微々たるもので、やはり最大の原因は潜伏期の長さと下がった死亡率だと思う。潜伏期が長いということは、それだけ人知れずに病気が感染する確率が何倍にも増大するし、死亡率が下がったことはつまり患者がすぐに死なないのでより長い治療期間が発生してさらに感染者を増やす事につながるからだ。

 ちなみに、上記1)~3)についてだが、私がこれらを誤差の範囲とみなす理由は、もしもエボラ出血熱が日本で発生したとしたら、きっとアフリカと大差ない状況で到底大流行を止められないと想像するからだ。むしろ人口密度が高くて人や物の流通が激しい日本では、アフリカ以上の速度で流行すると考える方が妥当だろう。ゆえに私は、ずっとエボラはヤバイと思っていたし、どうもメディアの論調は事態を舐めすぎているような気がしていた。


2.エボラについて解っていること

 これは2014年度の大流行にて、私がずっと不満に思っている事なのだが、驚くほど実はエボラについて良く分かっていない状況が今はあると思っている。これは日本のマスコミがサボっているのか、あるいはパニックを抑えるために伏せているのか解らないが、少なくとも日本のメディアを見る限りでは重要な事が結局は何もわかっていない。(というか、報じられてない気がする) たんに私が知らないだけの可能性もあるが、重大な事なのでもっと周知されるべき事案だと思し、現状は次のようなまさにグダグダな状態だと思う。

<本来エボラについて知りたかった事>
1)感染方法やルート
 「接触感染)発症患者の体液や糞尿など。マスコミでは一般的には感染力は低いと伝えられている・・・」
 しかし、実際にアメリカの伝染病対策のプロが感染したケースが多数あることから、感染力低いという言い方はオカシイだろうとここはツッコミを入れたい。さらにアメリカの感染での例から、空気感染が起こっている疑いや、盲点になっているケースがあると思われる。よって、感染方法についても現状ではよく解っていない点があるというのが正確なところだろう。

2)予防手段
 例えばマスク着用の効果や、手洗いの効果など。予防手段があるのかないのかも伝わってない。まじめに考えたら、物品の移動(輸出入)を含めて感染する可能性があるのかどうかとか、食品に含まれる可能性や加熱効果の有無とか、なんら役に立ちそうな情報が欲しいのだけど、どうもメディアには出てない。(仮に役に立たないなら、立たないと明記して欲しい)

3)治療方法
 現在色々なワクチンが試されているようだが、まだ確実に効果が得られると証明できてるには時間がかかるだろう。仮にできたとしても、インフルエンザ並に大量生産する事が可能かなど、課題は多いだろう。だから、いつ治療できる状態になるかが、そもそも不明な状況にある。

4)日本で感染した場合の手順
 まったく見たことないけど、そろそろ必要だろう。

5)日本政府の対応状況
 いまのところ、対策らしい動きは聞いた事がないのだけど、特に国内で発生した場合の対策がない。言っておくが医者が死ぬような危険な病気なので、病人が普通に病院に行くことすら危険である。だが、これらはまったく考慮されていないようだ。

 とまあ、こんな具合で、ちょっとまとめると、いかにエボラについてよく解ってないかがよく解った。

<補足:エボラ出血熱はレベル4>
 エボラ出血熱はアメリカの格付けでは最も厳しいというレベル4に相当する。ちなみにこの格付に対応するレベルは1~4まであって、それに応じて管理できる病院や施設が異なる。
・レベル1~2)危険ではない病気や微生物の研究
 対処が解っているインフルエンザとかもこれにあたる
・レベル3)危険な病気だが治療法がある
 狂犬病など
・レベル4)危険な病気で治療法が確率されてない
 エボラ・天然痘など

 そして日本では上記のレベル4設備は2か所しかなく、しかも危険だということでレベル3でしか稼働していない。つまりは実際に扱える病院や研究機関がそもそも日本には無いのである。実際のところ、医師だって伝染しかねない病気なので、エボラ患者を入院させるとなると、実際にはエボラ専用の病院を用意しないとしょうがないだろう。だから、アフリカだから危なくて日本ならセーフという理論は成り立たない。むしろ人口密度が高い日本の方が不利に作用しかねない。


3.今後はどうなるのか・・・

 ここまで書いてなんなのだけども、正直言って私にも良く解らない。上記までで書いたようにエボラについては良く分かってない事が多く、「神のみが知る」という域だ。危険にさらされているのはアフリカだけではなく、世界中である。例えばアフリカは近年は中国からの出稼ぎが多いので、中国に持ち込まれる可能性も高い。もしそうなれば、すぐにアジアにも広がるだろう。そして「もしも日本の都市部で感染者が現れたら」感染爆発を防ぎようがないかもしれない。

 こんなことを書いていると、昔からある例え話を思い出した。

「とある池があって、そこに生えた蓮の葉が一日で倍に増える。そして29日目で蓮の葉は池の半分を満たした。池のすべてを覆うのはいつになるだろうか?」

 答えは翌日の30日である。計算すればあたりまえの事だが、でも現実でおこればおそらく普通の人間は29日目はまだ残り半分あるから大丈夫だと思うだろう。エボラの怖さはここにあって、現在のグローバル化した世界ではエボラ出血熱は中世時代のペストに匹敵するぐらいの脅威かもしれない。

 しかしそれでもまだ運があって防ぐチャンスは残っているとも思う。なぜなら私はずっとニュースを見ながら「夏の暑い時期にエボラが日本の都市圏で発生する」のが一番最悪のシナリオで、それが起きたらもう終わりだと思っていたからだ。
 エボラの感染経路はまだよくわかってない部分があって、仮に満員電車で薄着に汗とかいうシチュエーションがあったら、どれだけ急激に感染するか分かったものではない。だから、夏を乗り越えたのは非常にラッキーだと思う。このままアフリカでなんとか抑え込めて、冬の間に先進国での拡大を防げたら、なんとかなるかもしれない。

 そんな中で心配なのは、日本政府がなんとなく頼りない気がするからだ。原発事故の例などもあるが、日本は前例の無い事態には滅法弱い。さらには今の安倍政権は集団自衛権と消費税以外は頭になくて、このエボラという問題を軽んじているのではないかという懸念がある。
 どうしてそう思うかと言うと、いまだに国内で防護服の準備だの、危機マニュアルを作って公開する動きといったものを聞いた事がないからだ。ちょっと前までテレビで専門家が「日本では感染拡大はおきません」とか言っていたいたように、政治家もテレビ見ながら「なんだ先進国では大丈夫なのか・・・」とか思ってそうで怖い。
(補足:ちなみに阪神・淡路大震災の時は、政治家はテレビで被害状況を知って大事態に気が付いたという笑えないエピソードがある)

 何度も言うがエボラは超危険である。兵器で言うと核なみに危険な「B(バイオ)兵器」に相当するウィルスが世界中で拡散しつつあるという事を軽く見てはならない。だから、そろそろ日本でも身近な問題だと危機感をもって取り組んでもらいたい。

<余談>
 「なんでこんな超危険でずっと昔から知られていた病気にワクチンが無かったのだろうか?」 理由は開発が難しかったからということではなく、作っても儲からないと思われていたからだ。いままでは発生しても数十人程度であり、またお金の無いアフリカだという地域事情もあり、危険な病気と分かってながらワクチンは開発されなかった。
 これは新自由主義社会の弱点がまさに露見した事態であり、経済優先に目がくらんだおかげで文明レベルの厄災を呼び込んだといえる。まさにグローバル化により市場原理に最適化しすぎた結果がこの顛末とは・・・。

<参考リンク>
エボラ出血熱 医療機関での感染防止が課題

2014年の西アフリカエボラ出血熱流行

バイオセーフティーレベル
 
Ebola infections outpacing health authorities’ efforts: UN official

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