2015年8月2日日曜日

いま起きている取り返しのつかない事について

 私はマイルールとして同じテーマを繰り返す記事はあまり書かないようにと心がけている。それは3.11以降のどうしようも無さを書くのが疲れたという事と、政治批判みたいなネガティブな事を言い続けるは、自分までヘイトスピーチ的な闇に飲まれそうな気がして嫌気がさしたからだ。だが、ここにきて「安全保障関連法案」(集団的自衛権等)についての議論も多くなってきたし、ようやくSEALDsのデモとかもTVにまで報道されるようになってきたので、ちょうど節目にあたる時期に私の考えを整理しておこうと思って久しぶりにブログを書くことにした。

 ちなみに、この「安全保障関連法案」をどう説明するかなのだが、これは意外に難しい。何故ならば政府はこれに対してちゃんと説明しないしする気もないのが見え見えなので、賛成派も反対派も結果的に憶測で語るしかない部分がある。
よって、ここはあえて大胆に(多少乱暴に)、システム屋らしくこの法案の「要件定義書」というべきポイントをリバースエンジニアリングとして再構築してみる。そのうえで法案がいったい何を目的にして何をやろうとしているのかを議論してみたいと思う。


 【安全保障関連法案(集団的自衛権等)のポイント】

<概要>
・自衛隊を通常軍と同じ扱いとし、世界中での戦争行為を行えるようにする。
 ⇒今回の法案

・また戦争行為の実施判断を内閣の一任でできるようにする。
 ⇒今回の法案

補足事項:
 ※ここに至る経緯として次のような事も関連事項として頭に入れておく必要がある。
・また戦争行為に関する情報統制は内閣の一任ですべて管理(非公開)できるようにする。
 ⇒秘密保護法として既に成立。

・なお国民の人権についても、国家の方針を優先して実施できるように制限できるよにする。
 ⇒自民党の改憲案として数年前から進められている議論。


<趣旨:米国が考えていると思われる事>
 米国の海外における軍事力低下を補う為に、自衛隊を海外に派兵して米軍のフォローをする。これによって次のような問題解決を目指している。
・米国の軍事費削減
・米国の死傷者等を削減、政治に対する反戦的な批判を抑える。
・兵器産業による益を見込める。(日本への兵器売却で利益をあげる)
・軍事による世界の影響力低下を抑える。もしくは影響力を強化する。
(ここの解釈は難しいが具体的には、対イスラム・対ロシアかなという気がする。むしろ中国と米国は接近している気がする)


<趣旨:日本が考えていると思われる事>
※米国の目標はとても明確で解り易い(良い悪いは別にして)。それに比べて日本の目標というのは政府がきちんと説明しないし、また妄想的な事ばかりを言っているのでとても分かりにくい。おそらく各政治家や官僚の思いもバラバラだろう。だからここは私が想像する安倍総理考えとして書いてみる。

・米国への軍事支援を行う事により、今までよりいっそう日本の後ろ盾になってもらう。
・アジアにおける影響力低下(中国に押され気味)を、米国の後ろ盾で押し返す
・兵器輸出を可能として、一部企業(三菱重工、川崎重工等)の利権を新たに確保する。

補足事項:
 ※一緒くたに進められている事柄。
・軍事権、軍事にかこつけて秘密や人権抑圧をすることで、政府(内閣)へさらに権力を集中させる。
 これはマスコミ制御なども含めて、半永久的に自民党の一党独裁を維持する為の布石か?


<実現手順>
・日本国憲法の改正
 ⇒ハードル高いので諦める
・日本国憲法の解釈改憲(実質の憲法無視)
・マスコミの懐柔。政府に批判的な意見が表に出にくいようにする
・大企業への優遇措置。政府に対する批判を押さえる為の交換措置
・官僚への優遇措置。政府政策に協力させる見返りとして、官僚優遇措置については目をつぶる
(例:NHKに関する優遇措置や報道制約などは代表的な例だと思われる)

 要約すると、政府政策に反論させないもしくは協力してもらう見返りとして、既得権益階層については見返りとしてバラマキ(大甘な優遇措置)を実施する、またはしてきた。しかもだいたいにおいて上手くいってきた。
 だが、さすがに安全保障は国民の反対意思が大きくてマスコミでも抑えきれなくなった感がある。

補足事項:
 ※関連して実施しているとみるかは難しいが方針的にはリンクしているように思える事
・反政府的な意見を述べる文化や土壌を無くしたいと考えているようで、教育分野への圧力が増している。
 安易な文系廃止論とか、よく解らない教育改革が増えたように思う。(反知性主義的に見えるけど)

さらに解説:
 でも、もっと根本的な話をすると、そもそも上記にあげた政府側の狙いすらもダミーではないかという気がする。何故ならば、日本側の狙いは願望レベルで実現性や実効性に乏しいものばかりである。現状では米国は日本よりも中国を重視する政策に切り替えてきており、対中国の後ろ盾になるとも思えない。それに米国に日本をフォローさせるだけの強制力が何もない。(親分に子分が指示を出せるわけながない)そして、さすがに官僚レベルではそれを解った上でやっているのだと思う。

 この変な状況については、私はどうして「日本は米国の半植民地である」という文脈でしか説明が思いつかない。
 つまりは「米国の要望により、傀儡政権である自民党が憲法手続きを無視して政策を実施」というものだ。

 この政策によって自民党は米国の承認を得て、傀儡政権としての一党独裁を保つ事ができる。そして官僚や既得権益集団も見返りをうけるだろう。だが当然のように一般国民に対するメリットは無い。


<リスク>
 この法案及び法案に関連して生じる未来のリスクだが、正直言ってこれは結構難しい。難しいというのは問題が少ないという意味ではなく、おそらくは長期的に悪い影響を与えるようなものが多く、どう見積もるかが難しいからだ。

直近のデメリット>
・海外派兵の影響で、日本国内で大規模なテロが起こる可能性がでる
・軍事費の増大で経済的に困窮する

将来的なデメリット>
・海外派兵の影響で、日本のイメージダウン。(平和国家としてのブランドに傷がつく)
・イスラム圏との将来的なマーケット喪失
 IS等のイスラム圏の問題は簡単に白黒がつけられるものではない。米国に相乗りした短絡行動は将来的にはイスラム圏の数億というマーケットや多くの物を失う可能性がある。
・憲法無視や人権抑圧などにより、国家の枠組みがくずれる。戦前のようなファシズム体制に戻る可能性が出てくる
 レベル的にはいまの中国ぐらいか、あるいはもっと悪いレベルの国家統治になる可能性がある。
・ファシズム体制的な中で、人権劣化→教育低下→環境悪化・・・的な負の社会サイクルに入る可能性がある。

 私的に一番の問題は憲法無視で、結果的には全てのルールがおかしくなる恐れがある。収集が付かなくなって戦前ぐらいの独裁政権と変わらない乱暴な社会になるかもしれない。それは結果的には国民の抑圧となり、社会の成長阻害ともなるんだろうし、暴走して何か致命的な問題を起こす可能性もある。


 全体をまとめると、メリットは実現薄で、デメリットは長期にわたって悪影響がでると思われる。よって普通に考えれば、賛同することはありえない政策である。

 なのにまだ政権支持が多少でも残っているのは、おそらくはこの問題が他と同様にたいしたことのない問題で、取り返しがつくと思っているからなのだろう。でも主観で言わせてもらうと、これはかなり「取り返しがつかない」ことである。安倍政権はだいたいにおいて、取り返しがつかないような事をだいぶやっているけど、この問題はなかでも大きい。

 なんせ、将来的にも米国の傀儡国家で言いなりになるかどうかを選ぼうとしているし、法治国家か独裁へ移行するかの瀬戸際なのだからだ。

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