2015年10月4日日曜日

労働者と雇用者の理想的な関係 ~非正規問題について語る~

 最近は労働環境と貧困に関する問題や議論をネットで多く見かけるようになった。直近でも「アリさんマークの引越社」の過酷な労働問題や、「派遣法改正」による影響など多くの議論や問題がある。

 これらの問題は大雑把に括ると次のようなに分かれていて、最近はよく自由化すべきかどうかといった議論が行われていた。
A)競争力を高める為に積極的に労働環境を自由化すべき   →自民党などの保守
B)自由化による労働環境の悪化が多いので制約をつけるべき →社会党などのリベラル

 しかし私には、どうしても双方の議論はしっくりこなくてもっと本質的な事を考える必要があるのではないかと疑問を思っていた。いつかはブログに書こうと思っていたテーマだが、ちょうど類似した話が多いので今回は、第3の選択肢(方法論)として私の考えを記載してみる。
(注:いつものごとく乱暴にまとめた話なので間違っていたり誤解あれば指摘願います)


1)非正規問題の本質とは何か
 非正規問題は雇用者、労働者の双方からの視点で考えないと本質が解らない。そこで今回は誤解を恐れず見解を簡単にまとめる。

<雇用者側から見た問題>
・社会変化の速度が早い為に、業務や組織を早いサイクルで見直す必要が発生、ゆえにアウトソーシングする形での外部委託が必須である。
・生産性が極端に悪い労働者がいるが、法律上ではそれを理由に解雇ができない。ゆえに簡単に正社員として雇うのを躊躇する。

<労働者から見た問題>
・同じ労働内容でも非正規は正社員より大幅に賃金が低い。この為に貧困に陥りやすく、余裕がない為に悪い雇用条件でも仕事をひきうけざるを得ない。
・安い賃金での長時間労働となる為に、スキルアップや他の仕事を探すのが難しく、貧困から抜け出せない。
・将来が不安定なので、家を買う(ローン)や結婚といった将来計画が立てられない。

 上記に加えて次のような問題点が全体を俯瞰すると指摘できると思う。

<陥り易い問題>
・賃金を下げる為だけに正社員を解雇して非正規にするケースが増えてきている。
・正社員であるものは自分の権益を守る事に終始し、非正規を過酷に扱う。なので優秀なのに非正規な者や、無能なのに正規の者が存在するような奇妙な状況も起きている。
・結果として人材の活用がうまく回らず、また貧困層の拡大によって国家的な経済へも悪影響を与えている。


2)今までの議論と欺瞞について
 上記1)の問題は立場の違いもありながらも世間一般では概ね認知されている。ただし対策となると、各政党や組織の意見はどうしても欺瞞に満ちたものに思えて私はずっと納得できないでいる。やや乱暴だがまとめると、概ね次のような事を双方は主張していると思う。

A)保守層:企業サイドからの対策
・景気さえ良くなればすべて丸く収まるさ。だから企業利益あげる為には、どんどん非正規を増やしても良い。結果として景気が良くなれば彼らも社員になるか賃金上がるかするだろう。

B)リベラル:労働者サイドからの対策
・そもそも非正規とものが良くない。もっと正社員化するように法制度を厳しくするべきだ。

上記A)は誰が見ても気づくと思うが、まったくのデタラメであり議論に値しない。問題はB)で一見間違ってはないように思えるのだが、最初に1)で上げた現在の労働環境や企業経営における根本問題については解決していない。ゆえに、社会での同意がいまいち得られず問題解決への大きな力とはなっていない。


3)第3の選択肢
 上記1)、2)を踏まえて、私はむしろ次のような選択肢を検討すべきではないのかと考えている。

<対策案>
(1)金銭による雇用者解雇を行えるように法制度を整備する。
(2)非正規は正社員よりも多く賃金を与えないといけないように法制度を整備する。

 解説すると、非正規は雇用調整弁であると昔から否定的に言われる事が多いが、私はそれ自体を悪と考えなくて良いのではないかと思っている。むしろ非正規の賃金が安い事と、人権侵害が起きている事が問題なのだと考えている。

 なのでまずは金銭解雇による明確なルールを整備する。例えば次のようなルールを作るべきだと思う。
<解雇ルール>
・解雇する半年前には必ず告げる必要がある。
・不当解雇を禁止する為に、解雇理由を明確にする。書面にて渡して証跡を残す。
・有給等は全て消化できるように配慮する。他の仕事を探す為の臨時休暇をさらに認める。
・解雇の臨時費用として、半年以上の給与を別途支払う。(勤続年数考慮とかするべきかな)

 次は非正規に対する扱いを規定ルールを整備する事だが、例えば次のようなものが考えられる。
<非正規雇用のルール>
・賃金は社員より多く払う。例えば正社員と同じ仕事をさせるのならば、1.5倍程度の賃金を払うべき。
・責任範囲を正社員より減らす。あるいは休暇を現状より自由にとれるようにする。

 ようは、多大な仕事や責任を持ってもらいたいならば、当たり前だけどもっと金払え、サポートしろという事だ。

 現実にこれらを適用しようとすると、どのあたりが具体的なラインなのか、どうやって企業にルールを守らせるかなど沢山の検討が必要だろう。他国の事例を調査したり、社会実験をすべきかもしれない。

 だが私的には、3)で述べた方が本質的であり、最終的にはこのような考え方をしないと永久に問題を解決できないような気がする。例えば中小会社などは正社員を雇うのは大変だから、解雇規制とかないと中々雇用に踏み切れないケースも多いだろう。

 また、私は昔からの窓際族や流刑みたいな転勤、退職部屋みたいな原始的ないじめに似た物に激しく嫌悪感を感じる。あれは、やられる側も嫌だけど、やらないといけない中間管理職側も相当心を病むと思う。いい加減にそんな野蛮な事は止めさせないといけない。

 もちろん、非正規の単価があがれば、それだけ正社員にするメリットも増えるわけなので、正社員の雇用促進にも役立つと思う。


<余談>
・カネ配る以外に政策を考えられない政府
 ちなみに今の政府のやり方で何が問題かというと、雇用者を増やす為に安易に企業に金を配る制度を作るという点だ。これは雇用だけではないが、最近の政府はなんでも安易に金を配る政策だけを作りすぎる。本来はルール(法制度)を整備して、物事が水が流れるごとくにうまくいくように調整すべきなのだが、そういった思想すら失われたかのようだ。

・無能な正社員に苦労する
 全ての会社が非情に労働者を切っているわけではなく。使えない社員になんとか仕事を与えようと四苦八苦している人も多くいます。私も経験あるし、友人には事務員なのにエクセルが使えない社員に対して、毎日少しずつ時間を割いて涙ぐましい努力で教えようとした人もいます。(結果は芳しくなかったと聞いてますが・・・)

・正社員(サマリーマン)が嫌いな人もいます
 同じ会社に何十年もいると考えるとゾッとする的な、そもそも会社員が嫌いな人も稀にはいます。ちなみ私もそうで、転職を何度も繰り返して最も続いたのがソフトウェア関係の仕事です。理由はどんな長期プロジェクトも数年単位で人が入れ替わって、新たな気分で仕事に入れるからでした。

・非正規が過酷なのは、そもそも正社員も奴隷扱いだから
 会社によって違いますが、正社員でもまさに社畜と呼ばれる扱いをされているのを見かける事も多くあります。よく解らない精神論だの根拠の無い成果主義による締め付けだの。非正規の人権侵害の基礎には、そもそも正社員の人権がないがしろにされているという問題が根本にあると思います。


<参考リンク>
アリさんマークの引越社「追い出し部屋」問題・指名手配犯じゃないぞ「罪状ペーパー」をはずせ!

「派遣法改正案」のいったい何が問題なのか


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